自己署名証明書またはカスタム認証局
- プラン: Free、Premium、Ultimate
- 提供形態: GitLab.com、GitLab Self-Managed、GitLab Dedicated
GitLab Runnerには、TLSピアの検証に使用される証明書を設定するための2つのオプションがあります:
GitLabサーバーへの接続の場合: GitLabサーバーへの接続の場合、証明書ファイルを指定できます。詳しくは、GitLabサーバーを対象とする自己署名証明書でサポートされているオプションセクションを参照してください。
これにより、Runnerを登録する際に
x509: certificate signed by unknown authorityの問題が解決されます。既存のRunnerの場合、ジョブを確認しようとするとRunnerログに同じエラーが示されることがあります:
Couldn't execute POST against https://hostname.tld/api/v4/jobs/request: Post https://hostname.tld/api/v4/jobs/request: x509: certificate signed by unknown authorityキャッシュサーバーまたは外部Git LFSストアへの接続の場合: ユーザースクリプトなどの他のシナリオにも対応する、より一般的な方法として、証明書を指定してコンテナにインストールできます。詳しくは、DockerおよびKubernetes executorのTLS証明書を信頼するセクションを参照してください。
証明書が欠落しているGit LFSオペレーションに関するジョブログのエラーの例:
LFS: Get https://object.hostname.tld/lfs-dev/c8/95/a34909dce385b85cee1a943788044859d685e66c002dbf7b28e10abeef20?X-Amz-Expires=600&X-Amz-Date=20201006T043010Z&X-Amz-Algorithm=AWS4-HMAC-SHA256&X-Amz-Credential=svcgitlabstoragedev%2F20201006%2Fus-east-1%2Fs3%2Faws4_request&X-Amz-SignedHeaders=host&X-Amz-Signature=012211eb0ff0e374086e8c2d37556f2d8ca4cc948763e90896f8f5774a100b55: x509: certificate signed by unknown authority
GitLabサーバーを対象とする自己署名証明書のサポートされているオプション
このセクションでは、GitLabサーバーのみがカスタム証明書を必要とする状況について説明します。他のホスト(プロキシダウンロードが有効になっていないオブジェクトストレージサービスなど)もカスタム認証局(CA)を必要とする場合は、次のセクションを参照してください。
GitLab Runnerは次のオプションをサポートしています:
デフォルト - システム証明書を読み取る: GitLab Runnerはシステム証明書ストアを読み取り、システムに保存されている公開認証局(CA)に照らしてGitLabサーバーを検証します。
カスタム証明書ファイルを指定する: GitLab Runnerは、登録時(
gitlab-runner register --tls-ca-file=/path)およびconfig.tomlの[[runners]]セクションでtls-ca-fileオプションを公開します。これにより、カスタム証明書ファイルを指定できるようになります。このファイルは、RunnerがGitLabサーバーへのアクセスを試行するたびに読み取られます。GitLab Runner Helmチャートを使用している場合は、カスタム証明書を使用してGitLabにアクセスするの説明に従って証明書を設定する必要があります。PEM証明書を読み取る: GitLab Runnerは、定義済みのファイルからPEM証明書(DER形式はサポートされていない)を読み取ります:
GitLab Runnerが
rootとして実行されている場合は、*nixシステムの/etc/gitlab-runner/certs/gitlab.example.com.crt。サーバーアドレスが
https://gitlab.example.com:8443/の場合は、/etc/gitlab-runner/certs/gitlab.example.com.crtに証明書ファイルを作成します。opensslクライアントを使用して、GitLabインスタンスの証明書を/etc/gitlab-runner/certsにダウンロードできます:openssl s_client -showcerts -connect gitlab.example.com:443 -servername gitlab.example.com < /dev/null 2>/dev/null | openssl x509 -outform PEM > /etc/gitlab-runner/certs/gitlab.example.com.crtファイルが正しくインストールされていることを検証するには、
opensslなどのツールを使用できます。次に例を示します:echo | openssl s_client -CAfile /etc/gitlab-runner/certs/gitlab.example.com.crt -connect gitlab.example.com:443 -servername gitlab.example.comGitLab Runnerが非
rootとして実行されている場合は、*nixシステムの~/.gitlab-runner/certs/gitlab.example.com.crt。その他のシステムの
./certs/gitlab.example.com.crt。GitLab RunnerをWindowsサービスとして実行している場合、これは機能しません。代わりに、カスタム証明書ファイルを指定してください。
ノート:
GitLabサーバー証明書がCAによって署名されている場合は、GitLabサーバー署名証明書ではなくCA証明書を使用してください。場合によっては、中間証明書もチェーンに追加する必要があります。たとえば、プライマリ証明書、中間証明書、ルート証明書がある場合は、それらすべてを1つのファイルにまとめることができます:
-----BEGIN CERTIFICATE----- (Your primary SSL certificate: your_domain_name.crt) -----END CERTIFICATE----- -----BEGIN CERTIFICATE----- (Your intermediate certificate) -----END CERTIFICATE----- -----BEGIN CERTIFICATE----- (Your root certificate) -----END CERTIFICATE-----既存のRunnerの証明書を更新する場合は、再起動します。
HTTPを介してすでにRunnerを設定している場合は、
config.tomlでインスタンスパスをGitLabインスタンスの新しいHTTPS URLに更新します。一時的な安全性の低い回避策として、証明書の検証をスキップする方法があります。このためには、
.gitlab-ci.ymlファイルのvariables:セクションでCI変数GIT_SSL_NO_VERIFYをtrueに設定します。
Gitのクローン
Runnerは、CI_SERVER_TLS_CA_FILEを使用してCAチェーンを構築するために不足している証明書を挿入します。これにより、公的に信頼されている証明書を使用しないサーバーでgit cloneとアーティファクトが機能するようになります。
このアプローチは安全ですが、Runnerが単一信頼点になります。
Docker executorとKubernetes executorのTLS証明書を信頼する
コンテナに証明書を登録する際には、次の情報を考慮してください:
- ユーザースクリプトの実行に使用されるユーザーイメージ。ユーザースクリプトの証明書を信頼するシナリオでは、証明書のインストール方法についてユーザーが責任を担う必要があります。証明書のインストール手順は、イメージによって異なることがあります。Runnerは、発生し得るすべてのシナリオにおいて証明書をインストールする方法を把握することはできません。
- Git、アーティファクト、およびキャッシュオペレーションの処理に使用されるRunnerヘルパーイメージ。他のCI/CDステージの証明書を信頼するシナリオでは、ユーザーが行う必要がある操作は、特定の場所(
/etc/gitlab-runner/certs/ca.crtなど)で証明書ファイルを使用できるようにすることだけです。Dockerコンテナがユーザーのために証明書ファイルを自動的にインストールします。
ユーザースクリプトの証明書を信頼する
ビルドがTLSと自己署名証明書またはカスタム証明書を使用する場合は、ピア通信のためにビルドジョブに証明書をインストールします。デフォルトでは、ユーザースクリプトを実行しているDockerコンテナには証明書ファイルがインストールされていません。これは、カスタムキャッシュホストを使用するか、セカンダリgit cloneを実行するか、wgetのようなツールでファイルをフェッチするために必要になる場合があります。
証明書をインストールするには、次の手順に従います:
必要なファイルをDockerボリュームとしてマップして、スクリプトを実行するDockerコンテナがこれらのファイルを認識できるようにします。このためには、たとえば
config.tomlファイルの[runners.docker]内でそれぞれのキーの中にボリュームを追加します:Linux:
[[runners]] name = "docker" url = "https://example.com/" token = "TOKEN" executor = "docker" [runners.docker] image = "ubuntu:latest" # Add path to your ca.crt file in the volumes list volumes = ["/cache", "/path/to-ca-cert-dir/ca.crt:/etc/gitlab-runner/certs/ca.crt:ro"]
Linuxのみ:
pre_build_scriptで、次の操作を行うマップされたファイル(ca.crtなど)を使用します:Dockerコンテナ内の
/usr/local/share/ca-certificates/ca.crtにこのファイルをコピーします。update-ca-certificates --freshを実行してインストールします。次に例を示します(コマンドは使用しているディストリビューションによって異なります):Ubuntu:
[[runners]] name = "docker" url = "https://example.com/" token = "TOKEN" executor = "docker" # Copy and install CA certificate before each job pre_build_script = """ apt-get update -y > /dev/null apt-get install -y ca-certificates > /dev/null cp /etc/gitlab-runner/certs/ca.crt /usr/local/share/ca-certificates/ca.crt update-ca-certificates --fresh > /dev/null """Alpine:
[[runners]] name = "docker" url = "https://example.com/" token = "TOKEN" executor = "docker" # Copy and install CA certificate before each job pre_build_script = """ apk update >/dev/null apk add ca-certificates > /dev/null rm -rf /var/cache/apk/* cp /etc/gitlab-runner/certs/ca.crt /usr/local/share/ca-certificates/ca.crt update-ca-certificates --fresh > /dev/null """
使用可能なGitLabサーバーCA証明書のみが必要な場合は、CI_SERVER_TLS_CA_FILE変数に格納されているファイルから取得できます:
curl --cacert "${CI_SERVER_TLS_CA_FILE}" ${URL} -o ${FILE}他のCI/CDステージの証明書を信頼する
Linuxでは/etc/gitlab-runner/certs/ca.crtに、WindowsではC:\GitLab-Runner\certs\ca.crtに証明書ファイルをマップできます。Runnerヘルパーイメージは、起動時にこのユーザー定義のca.crtファイルをインストールし、クローンやアーティファクトのアップロードなどの操作を実行するときにこのファイルを使用します。
Docker
Linux:
[[runners]] name = "docker" url = "https://example.com/" token = "TOKEN" executor = "docker" [runners.docker] image = "ubuntu:latest" # Add path to your ca.crt file in the volumes list volumes = ["/cache", "/path/to-ca-cert-dir/ca.crt:/etc/gitlab-runner/certs/ca.crt:ro"]Windows:
[[runners]] name = "docker" url = "https://example.com/" token = "TOKEN" executor = "docker" [runners.docker] image = "mcr.microsoft.com/windows/servercore:21H2" # Add directory holding your ca.crt file in the volumes list volumes = ["c:\\cache", "c:\\path\\to-ca-cert-dir:C:\\GitLab-Runner\\certs:ro"]
Kubernetes
Kubernetesで実行されているジョブに証明書ファイルを提供するには、次の手順に従います:
ネームスペースに証明書をKubernetesシークレットとして保存します:
kubectl create secret generic <SECRET_NAME> --namespace <NAMESPACE> --from-file=<CERT_FILE><SECRET_NAME>と<LOCATION>を適切な値に置き換えて、Runnerでシークレットをボリュームとしてマウントします:gitlab-runner: runners: config: | [[runners]] [runners.kubernetes] namespace = "{{.Release.Namespace}}" image = "ubuntu:latest" [[runners.kubernetes.volumes.secret]] name = "<SECRET_NAME>" mount_path = "<LOCATION>"mount_pathは、証明書が保存されているコンテナ内のディレクトリです。mount_pathとして/etc/gitlab-runner/certs/を使用し、証明書ファイルとしてca.crtを使用した場合、証明書はコンテナ内の/etc/gitlab-runner/certs/ca.crtにあります。ジョブの一部として、マップされた証明書ファイルをシステム証明書ストアにインストールします。たとえば、Ubuntuコンテナでは次のようになります:
script: - cp /etc/gitlab-runner/certs/ca.crt /usr/local/share/ca-certificates/ - update-ca-certificates
Kubernetes executorによるヘルパーイメージのENTRYPOINTの処理には、既知のイシューがあります。証明書ファイルがマップされている場合、この証明書ファイルはシステム証明書ストアに自動的にインストールされません。
トラブルシューティング
一般的なSSLトラブルシューティングのドキュメントを参照してください。
また、tlsctlツールを使用してRunner側からGitLab証明書をデバッグできます。
プライベートレジストリからexecutorイメージのプルを試行しているときにx509: certificate signed by unknown authorityが発生する
このエラーは、RunnerがexecutorをスケジュールするDockerホストまたはKubernetesノードが、プライベートレジストリの証明書を信頼していない場合に発生します。このエラーを修正するには、関連するルート認証局または証明書チェーンをシステムのトラストストアに追加し、コンテナサービスを再起動します。
UbuntuまたはAlpineを使用している場合は、次のコマンドを実行します:
cp ca.crt /usr/local/share/ca-certificates/ca.crt
update-ca-certificates
systemctl restart docker.serviceUbuntuとAlpine以外のオペレーティングシステムの場合は、オペレーティングシステムのドキュメントを参照して、信頼できる証明書をインストールするための適切なコマンドを確認してください。
GitLab RunnerのバージョンとDockerホスト環境によっては、FF_RESOLVE_FULL_TLS_CHAIN機能フラグを無効にする必要もある場合があります。
ジョブでのapt-get: not foundエラー
pre_build_scriptコマンドは、Runnerが実行するすべてのジョブよりも前に実行されます。apkまたはapt-getのようなディストリビューション固有のコマンドは、イシューを引き起こす可能性があります。ユーザースクリプトの証明書をインストールすると、これらのスクリプトが異なるディストリビューションに基づいたイメージを使用している場合に、CIジョブが失敗する可能性があります。
たとえば、CIジョブがUbuntuイメージとAlpineイメージを実行する場合、AlpineではUbuntuコマンドは失敗します。apt-get: not foundエラーは、Alpineベースイメージを使用するジョブで発生します。このイシューを解決するには、次のいずれかを実行します:
- ディストリビューションに依存しない
pre_build_scriptを作成します。 - タグを使用して、Runnerが互換性のあるイメージを持つジョブのみをピックアップするようにします。
エラー: self-signed certificate in certificate chain
CI/CDジョブが次のエラーで失敗します:
fatal: unable to access 'https://gitlab.example.com/group/project.git/': SSL certificate problem: self-signed certificate in certificate chainただしOpenSSLデバッグコマンドではエラーが検出されません。
このエラーは、Gitが接続時に使用するプロキシが、openssl s_clientトラブルシューティングコマンドではデフォルトで使用されないプロキシである場合に発生する可能性があります。Gitがプロキシを使用してリポジトリをフェッチするかどうかを検証するには、デバッグを有効にします:
variables:
GIT_CURL_VERBOSE: 1Gitがプロキシを使用しないようにするには、NO_PROXY変数にGitLabホスト名が含まれているようにします:
variables:
NO_PROXY: gitlab.example.com